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■こちらのカテゴリの話は、パラレルもいいとこの話です。
目指せ、不思議の国のアリスinポップン。
アリスはサユリんですよ。
「サユリん、図書館付き合ってー」
放課後、本を小脇に抱えたアユムに呼ばれ、サユリは足を止める。
「どうしたの?」
「延滞してたのを思い出さされた……」
うう、とアユムがうめく。
「思い出さされ?」
「督促状がきたー」
「ああ」
そういえば、昨日そんなプリントが配られていたような。
「怒られるかなあ、怒られるかなあ?」
「どうかなあ? 返すんだから、まあ、ちょっとお小言くらいじゃない?」
「ともかく一緒に来てーーーー」
「いいよ、図書館、嫌いじゃないし」
「ありがとう、もう大好き!」
アユムに引っ張られるようにして、サユリは歩き始める。
ついでに図書館でちょっと本でも読もうか、と思いながら。
図書館はいつものように静かだった。
部活でがんばっている声も、ここまでは聞こえない。
図書委員に「ごめんごめんごめん」と謝りながら本を返すアユムをみて、少し苦笑。
とりあえず、怒られることは無かった。良かったね、と思う。
「ついでだから、ちょっと図書館で本見てこうよ」
「そうだねー、良いよ。ここまで付き合ってもらったし、今日はアタシ、サユリんに付き合う」
アユムが大きく頷く。
二人で窓際にある席に座る。
「あ、そうだ、楽譜見よう」
アユムは部活で使うらしい楽譜を鞄から引っ張り出した。
「じゃあ、私、小説のあたりを見に行ってくるね」
「うん」
サユリは席を立つと、林立する書架へ向かって歩き出した。
図書館は小さいころから好きだ。
小学校でも中学校でも、ともかく通いつめて色々と本を読んだ。
本は、少し引っ込み思案な自分に色々な世界を見せてくれる。本を読む間は強い勇者にもなれたし、綺麗なお姫様になることも出来た。
自分に無い世界を体験するのは、楽しい。
今日はどんな本を読もうか。
考えながら歩き。
「えっと」
ふと周りを見る。
なんだか、いつもと様子が違うような気がする。
書架が、天井まで届くほど高くなっている。
見渡す限り、遠くまで書架が続いている。
後ろを振り返ると、これまた遠くまで書架が続いている。
自分は何処から来た?
アユムと座った席は?
「おや」
声のしたほうを見上げると、脚立に座った司書と目が合った。
赤いシャツに、黒いエプロン。
黒い癖っ毛と、メガネの向こうのオッドアイ。金色と青い目。
「ミシェル先生」
「どうしてこんなところまで?」
「え? 図書館ですよね?」
「図書館だけどね?」
ミシェルは困ったような顔をする。
「こっちへ迷い込んでくる子がいるなんて思わなかったんだよ」
「こっちって、どっちですか?」
「まあ、……説明が難しいんだけど……」
ミシェルが首を傾げて頭をかくのをみながら、サユリも首を傾げる。
ミシェル先生は、図書館の司書さんだ。
ポップンパーティで会ったこともあるけど、学校の先生という認識だ。
どうして学校に居て、こんなに困られないといけないのだろうか。
「とりあえず、サユリ、まっすぐ行きなさい。まっすぐだよ。書架は入り組んでいるけど、まっすぐ行けば出口だから」
ミシェルは右手で顔を覆って、困った様子のまま左手でサユリの進行方向を指差す。
「出口?」
「そう、出口。あまり深く考えてはいけない。迷ってしまうからね。僕が一緒に行くことが出来ればいいけど、まだ仕事があるから」
「わかりました。まっすぐ行きます。先生、お仕事がんばってください」
「うん、ありがとう。サユリの無事を祈るよ」
一体どういうことだろう、と思ったりもしたが、サユリはミシェルに頭を下げて歩き始める。
すれ違うとき、一瞬ミシェルの髪が金色に見えた気がしたけど、振り返ったらそんなことは無かった。
「いいから行きなさい。後ろは振り返ってはいけないよ」
不思議に思ったが、サユリはまっすぐ歩く。
時折書架の切れ目があったから、その向こうを覗き込んでみる。確かに、なんだかとても入り組んでいるようだった。まっすぐ行かないと迷うというのは本当だろう。
学校の図書館がこんなに広いとは思ったことが無かったけれど。
そういえば、書架に入った本は洋書ばかりのような気もする。が、気にしないことにした。
しばらく歩いていくと、漸く扉が見えてくる。
青い扉。
木で出来た、質素なものだ。
小さなステンドグラスがはまっている。
見覚えは無い。
学校の図書館だったはずだけど、どういうことだろう。
非常口?
思いながら、扉を開ける。
扉の向こうには、バラの咲き乱れる庭が広がっていた。
放課後、本を小脇に抱えたアユムに呼ばれ、サユリは足を止める。
「どうしたの?」
「延滞してたのを思い出さされた……」
うう、とアユムがうめく。
「思い出さされ?」
「督促状がきたー」
「ああ」
そういえば、昨日そんなプリントが配られていたような。
「怒られるかなあ、怒られるかなあ?」
「どうかなあ? 返すんだから、まあ、ちょっとお小言くらいじゃない?」
「ともかく一緒に来てーーーー」
「いいよ、図書館、嫌いじゃないし」
「ありがとう、もう大好き!」
アユムに引っ張られるようにして、サユリは歩き始める。
ついでに図書館でちょっと本でも読もうか、と思いながら。
図書館はいつものように静かだった。
部活でがんばっている声も、ここまでは聞こえない。
図書委員に「ごめんごめんごめん」と謝りながら本を返すアユムをみて、少し苦笑。
とりあえず、怒られることは無かった。良かったね、と思う。
「ついでだから、ちょっと図書館で本見てこうよ」
「そうだねー、良いよ。ここまで付き合ってもらったし、今日はアタシ、サユリんに付き合う」
アユムが大きく頷く。
二人で窓際にある席に座る。
「あ、そうだ、楽譜見よう」
アユムは部活で使うらしい楽譜を鞄から引っ張り出した。
「じゃあ、私、小説のあたりを見に行ってくるね」
「うん」
サユリは席を立つと、林立する書架へ向かって歩き出した。
図書館は小さいころから好きだ。
小学校でも中学校でも、ともかく通いつめて色々と本を読んだ。
本は、少し引っ込み思案な自分に色々な世界を見せてくれる。本を読む間は強い勇者にもなれたし、綺麗なお姫様になることも出来た。
自分に無い世界を体験するのは、楽しい。
今日はどんな本を読もうか。
考えながら歩き。
「えっと」
ふと周りを見る。
なんだか、いつもと様子が違うような気がする。
書架が、天井まで届くほど高くなっている。
見渡す限り、遠くまで書架が続いている。
後ろを振り返ると、これまた遠くまで書架が続いている。
自分は何処から来た?
アユムと座った席は?
「おや」
声のしたほうを見上げると、脚立に座った司書と目が合った。
赤いシャツに、黒いエプロン。
黒い癖っ毛と、メガネの向こうのオッドアイ。金色と青い目。
「ミシェル先生」
「どうしてこんなところまで?」
「え? 図書館ですよね?」
「図書館だけどね?」
ミシェルは困ったような顔をする。
「こっちへ迷い込んでくる子がいるなんて思わなかったんだよ」
「こっちって、どっちですか?」
「まあ、……説明が難しいんだけど……」
ミシェルが首を傾げて頭をかくのをみながら、サユリも首を傾げる。
ミシェル先生は、図書館の司書さんだ。
ポップンパーティで会ったこともあるけど、学校の先生という認識だ。
どうして学校に居て、こんなに困られないといけないのだろうか。
「とりあえず、サユリ、まっすぐ行きなさい。まっすぐだよ。書架は入り組んでいるけど、まっすぐ行けば出口だから」
ミシェルは右手で顔を覆って、困った様子のまま左手でサユリの進行方向を指差す。
「出口?」
「そう、出口。あまり深く考えてはいけない。迷ってしまうからね。僕が一緒に行くことが出来ればいいけど、まだ仕事があるから」
「わかりました。まっすぐ行きます。先生、お仕事がんばってください」
「うん、ありがとう。サユリの無事を祈るよ」
一体どういうことだろう、と思ったりもしたが、サユリはミシェルに頭を下げて歩き始める。
すれ違うとき、一瞬ミシェルの髪が金色に見えた気がしたけど、振り返ったらそんなことは無かった。
「いいから行きなさい。後ろは振り返ってはいけないよ」
不思議に思ったが、サユリはまっすぐ歩く。
時折書架の切れ目があったから、その向こうを覗き込んでみる。確かに、なんだかとても入り組んでいるようだった。まっすぐ行かないと迷うというのは本当だろう。
学校の図書館がこんなに広いとは思ったことが無かったけれど。
そういえば、書架に入った本は洋書ばかりのような気もする。が、気にしないことにした。
しばらく歩いていくと、漸く扉が見えてくる。
青い扉。
木で出来た、質素なものだ。
小さなステンドグラスがはまっている。
見覚えは無い。
学校の図書館だったはずだけど、どういうことだろう。
非常口?
思いながら、扉を開ける。
扉の向こうには、バラの咲き乱れる庭が広がっていた。
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