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■ナカジさんとサユリちゃんが喧嘩する話、多分。
東門から学校を出て、ちょっと歩いたところで立ち止まる。
それからしばらく待っていると、ナカジ君がやってくる。
そのあとはいっしょに歩いてナカジ君のお家。これがいつものデートの形。
別にお互い周りに隠そう、とか話したわけでもないんだけど、気付いたらそういう形になっていた。
とはいえ、別に特別なことを何かするわけではなくて、宿題が出たらいっしょに宿題をし、それが終わったら取りとめもなくお話したり、ポップンパーティのために練習したり曲を考えたり。
いわゆるデートはあんまりしたことが無い。
普通の、いわゆる「デート」に、ちょっと、あこがれる。
今日も今日とて、ナカジ君は楽譜に夢中。
私はナカジ君のベッドの上でごろっと横になって読書。
つまーんなーい。
ナカジくーん、背中見飽きましたー。
お勧めのタヌキの小説も読み終わりましたー。
毎日こういうの、ちょっと詰まんないでーす。
なんて念を送ったところで、ナカジ君が気づくわけなんて無い。
「ナカジくーん」
「……あー?」
興味のかけらもない返事に、ちょっとムッとする。
「つまんないでーす。タヌキの話終わっちゃったー」
「じゃあ、本棚に同じ作者で文通に明け暮れるクラゲ研究者の話があるから」
「いやいやいや……」
そういうんじゃないですよ。
私が求めてるの、そういうのじゃないですよー。
「ねー」
「……何」
「つまんないー」
「じゃあ、別の作者で時間旅行モノがあるから、文庫で二分冊」
「……」
むっかー。
こっち見てよ。
ねえこっち見なさいよ。
私ふくれっ面なんだけど! 怒ってるんだけど!
私は起き上がると、枕をつかむ。
それから、それを思いっきりナカジ君にぶつけた。
「ナカジ君の莫迦! 全然分かってない! 全然分かってない! 私はつまんないの! こう言うのつまんないの! いっつもお部屋で好き勝手して過ごすのってデートじゃないと思うの! 私はもっと普通のデートもしたいの! なのに私のことほったらかしだし! もうナカジ君なんて知らない! だいっきらい! 莫迦!」
カバンをつかんで、そのまま部屋を飛び出す。
家を出てしばらくしてから立ち止まってしばらく待ってみる。
追いかけてきなさいよ!!!!
携帯を確認しても着信もなければメールもなく、泣きそうな気分になってとぼとぼと駅までの道を歩く。
その間も、後ろから来る自転車の音のたび、期待してちょっと顔をあげてみたけど、ナカジ君じゃなかった。携帯もずっと手にもってたけど、相変わらず着信もメールもない。
ナカジ君。
ナカジ君。
ナカジ君。
悲しいよう。
ボロボロ泣きながら電車に乗って、駅に着いたころにはもうなんか泣き疲れて腹が立ってきていた。
私なんか変なこと言った?
そんなに特別なこと言ってないと思うよ?
お友達のデート話、結構うらやましいなって思うのは本当なんだよ。
秘密にするのは別にいいんだよ。
独り占めしてるみたいで。
けどね、たまにはね、ばれても良いからデートもしたいのよ。
相変わらず携帯は沈黙を守ったままで、ちょっと不安になってきた。
もう家が見えるくらいまで戻っているのに。
結構時間かかってるよ? ナカジ君家出てから。
何で何にも言ってきてくれないの。
大嫌いって言ったの、真に受けちゃったのかなあ。
嫌われちゃったのかなあ。
……やだなあ。
家に着いたとき漸くメールの着信。
不安ですぐに開いて見たい気分と、腹が立って怒ってて読みたくもない気分と。
しばらく放っておいて、でもやっぱり気になってメールを開く。
『そろそろ家に着いたころだと思うからメールした。
今日は悪かった。
普通のデートというものがどういうものか分からないから、教えてほしい。
今度の土曜日、行こう。
反省する。
だから、大嫌いというのを、できれば撤回してほしい。
ちょっと、いや、かなり、嫌だ。』
うわあどうしよう。
ナカジくん反則です、かわいいです。
だから色々様々許してあげることにしてお返事を書いた。
『許してあげます。だから土曜日までにいろんな人に聞いてデートの研究をしておいてください。』
このくらいは、許されるでしょ。
■どんなデートするんでしょうかね。
きっと気の利かないデートですよ(笑)