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■ナカサユですが、視点がアユムちゃんなので、落書きに入れときます。
サユリんがナカジと付き合ってるのがアユムちゃんにばれる話。




「サユリん、数学のノート見せて! 宿題忘れてた!」
数学のセンセは、たくさん宿題を出さない代わりに教室入った途端に指名があって、有無を言わせず黒板に宿題としてでた問題を解かされる。
やってあって当然、というのが前提だから、センセに容赦はない。
やってなかったら黒板に書きながらやらなきゃいけないのだ。
そういう恐怖を忘れたわけじゃないけど、 宿題を忘れていたのは事実なのであった。
「ん、いいよ。授業までに返してね」
手を合わせるあたしに、サユリんは笑顔で机の中からノートを出してアタシに手渡してくれた。
「うあおう、ありがとうサユリん! 愛してる! このご恩はきっと!」
「大げさだなあ、そんなのいいよ。でも何かくれるならメルティキスのイチゴがいいな」
「ちゃっかり者!」
言いつつも、ありがたやー、ありがたやー、と言いながら席にもどる。
数学までの2回の休み時間を有効に使えば、多分間に合う。
ともかく急ごう、とあたしはサユリんのノートを開いた。
 
すこし丸っこい、癖があるけど読みやすい字。
前回のノートとか、丁寧にまとめてある。テスト前にも借りないといけないな、と思いながら問題の宿題が解いてあるページを開いた。
問題は全部で6問。中間の式の展開も写しておかないといけない。黒板に書く時、書かないと聞かれるからだ。そして聞かれてもわからない。
ともかく全部写すことにする。ま、写してもよくわからないというのも事実なんだけど。
数学、苦手。全然ダメ。
意味もわからないで写していく。
順調に写していって、ついに最終問題。
なんとか数学始まるまでにサユリんにノート返せそう。
6問目の問題を教科書から写して、サユリんのノートのページをめくる。
 
と、そこにあったのは、今までとあからさまに違う文字。
 
右上がりで、ちょっと角張った感じの数字。
特に、2と3と5の癖が特徴的。
説明をしながら解いたらしい、数字に○がふってあったり、そこから矢印が伸びてたり。
『公式に当てはめる』って書いたとなりにその公式が書いてあって、ご丁寧にこの問題のどこがその公式のどこに当てはめられるのかまで書きこまれている。
何回か説明したらしいところなんか、矢印や○が何重にもなってたりする。
何がすごいって、読むとちゃんと「どうしたら解けるのか」がわかるところ。
数学五里霧中のアタシでも、読むとちょっとわかった気になったくらい。説明つきだったらもっとわかりやすいんだと思う。
で、答えの隣に『これで終了』。と、これも右上がりの特徴的な字で書かれていた。
これって何だろう。サユリんは、宿題を誰かとやったってことだよね?
割と賢いサユリんに、一体だれが教えたんだろう。
 
 
「サユリんー」
「あ、アユムちゃん写し終わった?」
「うん。……ねえ、サユリん、宿題、誰かとやった?」
「へ?」
何のこと? って感じでサユリんは私を見た後、「あ」という顔をした。
完全に忘れてた、という顔。
そのあと、いつものにこにこ笑顔に戻って。
「うん、まあ、ね」
と、歯切れの悪い返事。にこにこ笑顔に合わないことこの上ない。
「誰?」
「えへへー、秘密です」
アタシから受け取ったノートを、ちょっと抱きしめるようにして。
「えー、誰だよー、誰だよー。教えてよー」
ちょっとしつこく聞いてみたら。
「……彼氏」
サユリんはちょっぴり頬を染めて、照れくさそうに、小さな声で、でもきっぱりそういった。
「は?」
 
予想外の答えに、ちょっと脳内が白くなった気がした。
今なんて言った今何て言った?
教室も一瞬動きを止めたぞ?
みんなの顔やら耳やらがこっち向いたのがわかったぞ。
 
「サユリさん、今なんとおっしゃいましたかね」
「何で敬語なのアユムちゃん」
「かかかかか彼氏とかいいましたかねいいましたよねどういうことですかサユリさん?」
「お付き合いしてるの」
「いやそりゃそうでしょう、彼氏ってお付き合いしてる相手でしょうよ」
「まあ、そういうことです」
「誰だーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
多分クラス中の心の叫びを代弁するかの如く勢いで、アタシは叫ぶ。
目の前のサユリんは、ははは、と苦笑した。そして可愛くウィンクしてから、
「内緒」
と小声で言う。
おおう、かわいい、かわいいけど、かわいいけ、ど!
「秘密にしないといけないようなヤバい相手なの!? もしかして脅迫!? 脅迫されて仕方なく付き合ってんの!?」
「いや、そんなんじゃないよ。アユムちゃん想像力たくましいねえ」
「だって内緒とか言うし! 言えないような相手なの!? サユリんに一体何があったの!?」
「んー」
サユリんは随分困ったように眉を寄せて、その眉間を人差し指で押さえてしばらく考えるようなジェスチャをした。
「何があったって、人を好きになったんだけど」
「いやそりゃそうなんだろうけど」
思わず脱力して、むう、とアタシは唸る。大体、アタシの能力でサユリんに何かを言わせようってのがまず無理な気がしてきた。
「サユリんが好きになったんだから、きっといい人じゃん? 何で言えないような相手なわけ?」
「言えないんじゃなくて、言わないの」
「なんで」
「独り占めしときたいの。あの人のこと。だから内緒。それだけ。心配なんて全然いらないの」
サユリんは頬を染めて、えへへ、と照れたように笑う。これがまたかわいいんだ。
かわいいけど!!
「納得いかねえええええ!!!」
「菱川ー、納得いかなくても叫んでないで席につけー。授業始めるぞー」
先生の到着が、これまでに腹立たしかったことは、いまだかつてない。
 
 
起立、礼、で授業が始まって、さっそく窓から二列目の列が宿題に当たった。
よかったアタシの列じゃなかった。
ガタガタと席から立って、次々に黒板に向かっていくクラスメイトに多少の同情をおくりつつ、しばらくのんびりすることにする。宿題が解かれるまで、5分くらいは授業は始まんない。
おお、3問目の田中君苦戦中。気の毒だー。自分が当たっててもきっと苦戦したんだけど(ノートは写させてもらっても、だ)、当たらなかったら関係ない。無責任に心の中で応援しつつ、ぼんやり黒板を見詰めてて。
6問目。最後の問題。
解いてるのはナカジ。何気にこいつ頭いいんだよね、いっつも各教科で成績トップ20人の張り出しの中に名前載ってるし。っていうかいつも総合では一位だし。
腹立つなあ、どんな頭してんだろ。
そんなこと思いながら見てて気づいた。
2と3と5の、文字の癖。
さっき見たばっかりの字に、すっごく似てる。
っていうか書いた本人なんじゃねええかあああ!?
そっとサユリんのほうを見てみたら、ぼんやり頬杖ついて黒板を見てた。
目線がどこかすらわからない。
 
結局落ちつかないまま授業を済ませて、アタシは一直線にサユリんの席へ。
「サユリん、ちょっと」
「なに」
「いいから、一緒に行こう」
「へ?」
なんで、という顔をするサユリんの手を無理やり引いて歩きだす。人が少ない廊下の端っこまでたどり着くと、アタシはサユリんに向き合ってがっしりと肩をつかんだ。
「あのさ」
「ん?」
「サユリんの彼氏って……もしかしてナカジ?」
「……」
サユリんは少し困った顔をしてから、人差し指を一本、口にあてた。
内緒ね、のジェスチャ。
「そうだよ」
「うえええええ」
「何でわかったの?」
「字で。あいつ数字の2とか3とか5とか癖あるから」
「あー。そうだね」
サユリんは結構あっさりとうなずいてから、アタシの顔をしっかりと見た。そして、
「内緒にしといてね」
と言ってかわいらしくウインクした。
「それにしたってなんだってナカジだよー。もっと他格好いい男の子いくらでもいるじゃんー」
「ナカジくん格好いいよ?」
「眼下行け眼下」
「ひどーい」
サユリんは口ではそんな風に言いながらも、顔は笑ってる。
「ナカジくん本当に格好いいよ? やさしいし。意外と知られてないけど」
「サユリんのほうが惚れたの?」
「最終的には、そうかな? でもどうしようかな。クラスのみんな割と興味津津で聞き耳立ててたよねえ」
「そりゃそうだよ」
サユリん、自分がどのくらいもててるか、全然わかってないからなあ。
「ま、なるようにしかならないよね。別に隠してくれ、とも言われてないし隠そうか、とも言ってないし。広まっちゃったらそれはそれで大手を振ってお付き合いすればいいし」
あっさりとサユリんは言いきると、軽い足取りで教室に戻っていく。
アタシは重い足取りでそのあとに続いた。
 
 
教室に戻って、サユリんは何事もなかったように席に戻る。
「おかえりー」
タローがサユリんをお出迎えする。
「サユリん、アユムちゃんに殴られたりしたの?」
「するか! なんでだ! どういう理屈だ!」
アタシが叫ぶと「わかってるよそんなことー」と言ってケタケタ笑う。それからサユリんに向き直ると、
「大体さあ、アユムちゃんもクラスのみんなも、今更だよねえ? サユリん、お付き合い始めたの半年以上前じゃんね?」
「あはは、そうだねー」
「お前知ってたのかー!」
アタシが叫ぶと、タローはあっさりうなずいた。
「見てたらわかるじゃん。俺はなんてったってサユリん大好きだからねー。女の子では」
「ぐああ、タローに負けてたのが一番腹立つ!」
 
そんなこんながあって、放課後にトランペットを力一杯吹いてて気づいた。
タロー、ナカジの唯一くらいの友達じゃん。
そりゃ見てて気づくわ。気づかなかったらウソだわ。
騙されたわ。
明日タローは八つ当たりも兼ねて一発殴ろう、そう心に決めた。


タローちゃん不幸!

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