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■タイトルからは想像つかないかもしれませんが、ナカサユ。
何があったって、何もないです。なんか寝起きに思いついた。
基本落書きレベル。




待ち合わせに少し遅れて屋上へ行くと、いつも居るあたりにナカジ君の姿はなかった。
とはいっても、約束をすっぽかしてどこかへ行く人ではないから、屋上をぐるりと巡ってみる。
するとナカジ君は、屋上へでるためのエントランス部分で日陰になったところで、横になって眠っていた。

座っていてうっかり居眠りに至った、というのではないというのは、その寝姿からすぐわかる。
ギターケースは体の左側。その上にたたんだメガネが置かれている。頭の下には通学カバン。完全に「寝るために横になりました」という姿。

私はしばらくナカジ君を観察する。
一定の間隔で上下するお腹。
半開きになった口。
風のせいかくしゃくしゃになった前髪。
いつも巻いてるマフラーは、少し緩めてある。
すこし長めのまつ毛。
とがった感じの顎のライン。

うん、好きな形。
意外と知られてない、ナカジ君の姿。

私はしばらく横に座ってナカジ君を観察してたけど、いっこうにナカジ君は目を覚ます様子はない。
ねえねえナカジ君、多少は人の気配とか感じようよ。
危機感持とうよ、ねえ。

右を見て、左を見て、ついでにドアのほうを見て。
人が来る気配がないのを確認してから、私はナカジ君の唇に自分の唇を軽く触れさせた。
ほんの一瞬。

「……何」

うっすら目を開けて、ナカジ君が私を見る。
おお、目を覚ました。
でもなんかこれってさ。
「ナカジ君、キスで目を覚ますなんて、お姫様みたいだね」
言うとナカジ君は、大変、それはそれは不機嫌そうに眉を寄せた。

実はそういう、不機嫌そうな顔も好きだったりするから、私ももう末期かもしれない。
恋愛とかいう、ちょっとした病の。

「じゃあ、目を覚ましたもののまだ寝ぼけてる姫が一発で目ぇ覚ましそうな気のきいたことの一つも言ってくれよ王子様」
ナカジ君はそういうと、また目を閉じてしまった。よっぽど眠いのかもしれない。
「えー、お姫様そんな喋り方しないし」
「うるせえよ」
「んー、目が覚める一言ねえ」

私はしばらく目をつぶったままのナカジ君を見詰めて。
唐突に思いつく。
ナカジ君の耳元に口を寄せて、囁く。
「ナカジ君、好きよ」
それから、ふ、と少し強く息を吹きかけた。
ナカジ君の体が、びくっと大きく震える。ナカジ君、耳弱いからねえ。
「ば、ば、莫迦かお前!」
耳を押さえて、がばっと起き上がりながら、悲鳴みたいに叫ぶお姫様。

「ほら、目、覚めたでしょ」
気にせずにっこり。

ナカジ君は耳を押さえたまま、しばらく声も出ないのか口をぱくぱくさせていたけど、やがて大きく息を吐く。
「おはようございます」
「うん、おはよう。じゃあ、デートに行こうよ私のお姫様」
「そろそろお姫様から解放してくれよ王子様」
言いながらナカジ君はメガネをかけて、マフラーを巻きなおす。口、隠れちゃった。残念。
「今日一日はもうナカジ君はナカジ姫なのです」
「……」
「そんな恨めしそうな顔で見てもダメ」
「どう考えても俺は姫って感じじゃなかろうよ? おまえだろ姫なのは」
「私お姫様っぽい?」
「……」
「うわ、そこは即答しとこうよナカジ君。そうだよサユリ、俺のお姫様、とかさ」
「そういうことを言う俺は俺じゃないな」
「うん、私も言いながら、うわこれナカジ君じゃないなって思った」
ナカジ君は私の言葉に苦笑いすると、私の頭をくしゃくしゃって乱暴になでた。

「チョコパフェだっけか、お姫様」
「イチゴパフェです、王子様」




■うん、だから別に何ってわけじゃないの。
思いついちゃったから書いただけなの。最近のナカサユはなんかいちゃいちゃしすぎだと自分でも思う。

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