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■ 注意書き ■  ※ちょっと長いけど結構重要な注意っす。

今回の話は、タローちゃんが「ヤンデレ」です。
まあ、ちゃんとヤンデレわかってないんですけど。
考えてみればデレてないですけど。
少なくとも「病んで」は居ます。確実に思いつめてます。

で、えーと、かなり「腐」レベル高いです。
無理やりとか嫌いな人は読まないことを推奨します。
むしろコレ読まなくていいよ……全体的に。

明るいタローちゃんが好きです、という人は確実にまわれ右です。
ナカジが痛い目にあうのが嫌です、という人は確実にまわれ右です。
死ネタきらいです、というひとは超っ早でまわれ右を確実にこなしてください。

あーあと、別に18禁とは言いませんが(言ったところでリンクはクリックできちゃうわけだし)
16禁くらいはあるかもしれません。もしかしたら基準が甘かったりからかったりするかも知れませんが、どの辺がラインなのかよくわかってません。
そうか何歳かからは禁止される系なのね、と理解してもらえればよいかと思います。


こういう説明を全部乗り越えて、かつ「あら引っかからなかったわ、読んでみようかしら」という奇特で物好きな豪の者な方は、「本文はこちら」をクリックして本文を読んでいただければよいかと思います。


読んじゃっても苦情は言わないでくださいね。注意したからね。


それにしても夏休み最終日にアップするのがこういう話ってどうなのよ。
新学期が嫌だってことかしら。ああ、やだやだ。






多分、堕ちるしかないんだ。
 
そして、多分。
 
引きずり込むしかないんだ。
 
 
 
ひどく薄暗い空からは、今にも雨が降りそうで、でも降らないままで。
遠くで雷が鳴っているのが聞こえた。
「彼女は雷がきらいだった」
つぶやいた彼の手を、俺はぎゅっと握りしめた。
今離したら彼が消えてしまいそうに思った。
 
俺と彼が居るのはお墓だった。
彼女の、お墓参りなのだ。
数日前、彼女は唐突にこの世からいなくなった。
彼女のことをとても静かに深く愛していた彼は、一気にバランスがおかしくなった。
彼女の自殺の理由に心当たりはないし、でも理由がないわけがないから、自分は何をしていたのだろうか、と彼はとてもとても自分を責めた。
目に見えて、彼は衰弱していく。
 
この世からいなくなってさえ、彼の心をとらえて離さない彼女に、俺は今更ながらに嫉妬する。
随分予定がくるってしまった。
彼女が消えて、彼が俺を見てくれる、なんて考えてはいなかったけど。
彼女を得て甘くなった彼が、彼女を失ってもとの攻撃的で排他的な彼に戻ってくれると思ってたのに。
 
俺は。
昔の、であったばかりのころの、そういう彼が好きなのに。
 
あんまりじゃないか。
全然割に合わない。
何のために。
これじゃ何のために、わざわざ、リスクを冒してまで彼女を屋上から突き落としたかわからないじゃないか。
 
 
そんな腐抜けた壊れたナカジを見たかったわけじゃない。
 
 
遠くで雷の音。
それとともに、ざっと降りだした強烈な雨。
彼女がきらいだったという雷。
人を拒絶するような雨。
ああ、きっと彼女は怒っているのだ。
彼と無理やり引き裂いたから。
彼を苦しめるから。
彼を独り占めしようとしたから。
 
でも、彼を独り占めしたのは、彼女だって一緒だ。
彼を取り上げて独り占めしてもう居なくなってさえ心を持ち去って。
残ったのは彼の抜け殻。
残ったのは壊れてしまった彼の形をした何か。
残ったのは彼女の使い捨てた彼。
 
雨に降られて濡れてなお、彼は彼女の墓の前から動こうとしない。
雨降ってるのにも気づいてないのかもしれない。
ねえそこにあるのは彼女の骨とかそういうものじゃないよ。
そこにあるのはただの記念碑だよ。
彼女が世の中に居た記録でしかないよ。
 
 
何でそんなもん見て動けなくなってんのさ。
何で隣に俺が居て石碑のほうが大切なのさ。
ナカジが好きで好きでたまらなかった大事な大事なサユリちゃんを殺した犯人が隣に居るってのにさ。
憎めばいいのに。
俺のこと憎めばいいのに。
憎くて憎くて仕方ないくらい憎めばいいのに。
そしたらナカジは俺のことしか見えなくなる。
ナカジの心は俺のことしか考えなくなる。
俺はそういう関係性でもいいんだよ。
この世に俺とナカジと居ればそれでいいじゃないか。
他のことなんて考えなくてもいいじゃないか。
 
 
とても大きな、落雷の音。
 
 
俺は彼の手をつかんでいた手に力を込めた。
そのまま彼の手をぐいっと思いっきり引っ張る。
不意を突かれた彼は、バランスを崩して俺のほうへ倒れてくる。
それを受け止めて。そのままかみつくように口づけをした。
俺と彼はそんなに背の高さは変わらない。でも純粋に力比べをすれば俺にアドバンテージがある。
その上、今、彼は衰弱して、茫然自失で、力なんかあるわけないんだ。
口づけて。
何度も何度も口づけて。
無理やり。
肩に手をかけて、そのまま押し倒す。
派手に後頭部をぶつけた音がしたけど、そんなのは知らない。
水たまりに右半身が浸かってるけど、そんなのは知らない。
彼は最初、それでも弱弱しく抵抗した。
いやだ、やめろ、なんだよ、そう言いながら、手で俺を押しのけようとした。
 
どうして拒絶するんだよ。
 
世界は雨。
誰もこんなとこ来やしない。
白い白い世界。
音で遮断された世界。
 
ここには、俺と、彼だけ。
 
服に手をかけて、無理やり脱がせる。
サユリちゃんの、お墓の前で。
サユリちゃんの、前で。
俺は無理やり、彼の中に入り込んだ。
 
 
全然、満たされない。
 
 
最後のキスは、血の味がした。
赤色の味。
赤。
サユリちゃんのジャージの色。
ああ、こんな時までも。


 
 
次の日は、昨日の雨がウソみたいにきれいな青空で。
あんなことがあったのに、俺を誘って屋上にやってくる彼もなんだかウソみたいで。
「ああこんなに高いのか……こんな高いところから落ちたのか。……怖かっただろうな」
屋上から地上を見下ろして、彼はそんな風につぶやいた。
それから俺のほうを見て
「お前なんだろ、サユリをここから突き落としたの」
振り返った彼は、彼女が死んでから今日までで、一番きれいな顔をしていた。
 
一体どうして。
どこからばれた。
 
「莫迦な奴だな。お前が何をしようが俺がお前のモンになるわけがないのに」
 
にやり、笑って。
とてもとても、俺を憐れむような、見下すような、不思議な目をして。
 
ナカジは。
 
本当に、気軽な足取りで屋上の柵を乗り越えて。
空中を歩けるのだとしたら、それは散歩みたいな足取りで。
本当に、本当に、軽く。
俺がサユリちゃんを突き落としたのと同じ場所から。
 
薄笑いだけを貼り付けて
地面に向けて、墜ちて行った。


ナカジの顔がきれいだったのは、きっと覚悟を決めた顔だったからだ。
 
 
 
 
「あああああああああああああああああああああ!!!!」
 
 
叫び声で目を覚ます。
跳ね起きて、ああこれは夢だったんだと安心する。
サユリちゃんを殺してしまったことではなく、ナカジが無事だってことに。
ああ俺は最低だな本当に。
どう考えたって、安心する理由は普通人を殺してないってほうだろ。
でもどう考えても、世界にナカジが存在してるほうが重要だ。
膝を抱えるように座って、とりあえず自分が泣いていることに気付いたけど、涙は拭かないことにした。
 
ああ、俺は馬鹿だな。
本当に馬鹿だ。
どうせ夢なら、もっと優しくて甘い夢を見ておけばいいのに。
夢なんだから、願望も欲望も思いのままなのに。
どこまでもしみついてるんだ、ナカジがサユリちゃんを好きだってことが。
どこまでもしみついてるんだ、サユリちゃんがナカジの心をつかんで離さないことが。
どこまでもしみついてるんだ、自分の恋愛感情が不毛で実りようがないってことが。
 
俺の想いは。
夢で見たように、墜ちて行った先でしか叶うことはないんだろう。
夢で見たように、引きずりおろして、引き倒して、無理やりでしか叶わないんだろう。
そして、夢で見たように、絶対に満たされることはないんだ。
 
発作的にケータイを引き寄せて、ナカジに電話した。
もう無理かな、と思うころにようやくつながって。
「もしもし」
超絶不機嫌な声で、でも生きてるナカジの声。
俺に無理やり何かされたりしてない、ナカジの声。
「ナカジ、大好きだ」
「わざわざ電話かけてまで寝言言ってんじゃねえ! 何時だと思ってるんだ莫迦者! 寝ろ!」
超早口でそれだけ言うと、ナカジは一方的に電話を切った。
すごく怒ってた。
時間を確かめて午前四時そりゃ怒るわと思ったけど。
 
 
世界にナカジはまだ存在する。
俺の想いは叶わないけど、それはいい。
ナカジが居るなら、それでいい。
 
 
明日、多分出会い頭に右ストレートが飛んでくるだろうから、それはよけないで殴られておこう、と思った。




 


どうしてだか、「タロナカ」で話を書くと、タローちゃんが病みます。
確実に。思いつめてます。
基本的に彼は自分の恋が実らないのを理解したうえで行動しているから、どうしてもそうなるのかも知れません。
そして多分そういうタローちゃんは需要がないと思いますが、仕方ないのです。
だってそうなっちゃうんだもん。

おかしいなあ、高校生活をワイワイかくと明るく楽しい大型犬のようなタローちゃんにちゃんとなるのになあ。
たまにはじゃれついて殴られるだけのタローちゃんを書きたいなあ。
ナカジは基本的にタローちゃんを邪険に扱っていればそれでいいや。

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