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■タイトルはcorneliusの曲から取りましたが、内容はまったく関係ありません。

必要以上にナカジとサユリがいちゃいちゃしたお話です(苦笑)
苦手な方はお読みにならないほうがよろしいかと存じます。






ナカジ君の体は、歌をうたうために存在している。
 
たとえばマフラー。
あれは喉を気遣ってのことで、別にオシャレとか全然関係ないらしい。
あんまり普段おっきな声を出さないのも(タローちゃんへの突っ込みは割とでっかい声だけど)やっぱり、喉を気遣って意識してそうしてるって言っていた。
 
たとえば指。
ナカジ君の指はとてもきれい。少し長めに伸ばした爪で、ギターを弾く。
ギターを弾くために、手の手入れをとても真面目にやっている。
(はっきり言って、気を抜くと私の手のほうが荒れてたりする)
手が大事だから、タローちゃんが馬鹿なことを言っても殴ったりしない。蹴るか、モノで叩くようなもっとひどいことになっている。(タローちゃんはよく友達を続けてられるなあとたまに思う)
そんなだから、「爪を守るためにマニキュアでも塗る?」なんて笑って言ってみたら、真顔で「その手があったか」なんていうもんだから、透明のマニキュアを1本買ってプレゼントした。
ものすごく感謝されて複雑な気分になった。
 
たとえばお腹。
運動嫌いを公言し、自他共に認める運動嫌いのナカジ君だけど、腹筋だけは毎日している。
歌うには腹筋がいるから、という理由。
そりゃ、運動大好きタローちゃんに比べれば全然大したことないんだけど(そしてタローちゃんと並ぶとナカジ君は大変細くひょろっとして見える)それでもお腹には腹筋の筋がうっすら見えるくらいにはなってるから、本気なんだと思う。
 
そんなふうに、ナカジ君の体は、歌をうたうためにできている。
歌をうたうために、生きてる。
 
だから。
一緒にいて、歌を歌うための声で私の名前を呼んだり、ギターを弾く手で私に触れたりしてくれるのが、とても嬉しい。
大事な音楽と、同じくらい大事に扱ってくれるのが、嬉しい。
音であふれた心に、私を一緒に置いてくれるのが嬉しい。
 
そりゃ、時々は音楽より私を大事にしてくれたらいいのにって思うけど、私のほうが音楽よりは付き合いが短いんだし、ナカジ君から音楽がなくなったら生きていけなさそうな気がするから、まあ、許す。
「一緒にいる」ってことが、ナカジ君の場合結構レアな状況だし。
だったらこの状態で、特別を味わわなきゃね。
 
 
ナカジ君の胸に耳をあてて目を閉じる。
とく とく とく
心臓の動く音。
生きてるんだから当たり前の音なのに、これがナカジ君だと思うと心臓の音でさえ音楽に聞こえてくるから不思議。
とく とく とく
体中が音楽であふれかえってる。
とっ とっ とっ
あ、ちょっと早くなった。
「……何?」
ナカジ君の声。低い、囁くような声。胸の奥で反響して、耳をつけてる私の頬に振動が伝わる。
ああ、音楽だ。
「ナカジ君の中の、音楽を聴いてるの」
「そうか」
ナカジ君は特に説明を求めるでもなく納得して、髪に手を入れて梳くようにして、私の頭をなでる。たぶん無意識に、髪の先をくるくると指に絡めたりする。
「ナカジ君」
「ん?」
「音楽と私、どっちが大事?」
「……え?」
と と と と と
ぽつりと聞いた言葉に、ナカジ君の心臓がどんどん速くなる。そっと顔を上げて表情を確認してみたら、すごくこわばった顔をしてた。
悪いこと聞いちゃったな、こういう粘着質なの、きっとナカジ君嫌いだろうなあ。
「えっとね」
ごめん、今のなし。
って言おうとしたら、それより先にナカジ君の声。
「すまん、選べない」
「え?」
「きっと、こういうときはサユリと答えるのが正解なんだろうと思う。でも、俺の脆弱な精神を保ってきたのはずっと音楽だったし、これからもそうだろうと思う。だから音楽が大事じゃないとは言えない。嘘でも言えない。でもサユリも大事だ。手放したくないと思う。できればずっと一緒にいたいと思う。だから、サユリも大事なんだ。優柔不断と謗られても、これが俺の正直な気持ちだ」
「うん」
私は耳をナカジ君の胸にくっつけたまま、うなずく。
心臓の音は、今も早い。胸の奥で響く声はかすれている。
息もちょっと荒い。苦しそう。
ああ、ほんと、悪いことしちゃったなあ。
「ちなみに」
「ん?」
「サユリとしては、本当はどうやって言ってほしかった? 何が正解?」
「こういうのは、正解とか不正解とかないんだよ」
「そうか」
笑って言ったら、ナカジ君はちょっとほっとしたみたいだった。
「そりゃ、『サユリだ』って即答してもらったら嬉しいけどね、でもそこは私のナカジ君としては、ありえないでしょう?」
「……そりゃ悪かったな」
続いた言葉に、ちょっと気を悪くしたみたいだけど、このくらい、いいよね?
「だからね、どっちも大事って言ってもらって良かった。音楽って即答されなかったからね。音楽って言われたら、ちょっとガックリしてたかも」
「……そうか」
「うん」
答えて、私はナカジ君をぎゅっと抱きしめる。
「だからね、まあ、合格です」
「正解不正解はないんじゃなかったのか」
ナカジ君が苦笑する。体の奥を反響する声。
「それはほら、理性と感情の不一致みたいな」
「理性じゃなくて、この場合理想じゃないか?」
あきれたような声を上げるナカジ君の、その頬をちょっとだけつねって。口を尖らせて怒ったふりをしたら、「すまん、悪かった」なんてあわてて謝って。
 
 
「ねえ、私と音楽、どっちが大事?」
笑って尋ねたら、一拍置いてから、大変大変かたい声で、ナカジ君はこう返事をした。
 
 
 
「あー、えーと、……サユリ」
「よくできました」
 




■このお話の見どころ(笑)は、
何気にナカジの腹筋状況を知っているサユリ(=見たことがあるってことだ!)と、
髪に手を入れて梳くようにして、サユリの頭をなでる(=サユリはこの状況で、髪をおろしている)という、全く場面設定を描いてない割に、深くかがえると「んん?」と思えるところです(笑)


先に自己申告しておいたら怖くないかなって思って!
深くは説明しない!
好きなシチュエーションを思い描くといいさ!

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